日本機械学会 Dynamics and Design Conference 2026 / OS9-2-1-01
Stabilization of Online 3D SLAM using Differential Evolution for Low-Resolution 3D LiDAR
情報・ロボット研究室(Information and Robotics Laboratory) lab.ir-laboratory.com
本発表の構成
1章 | 課題
上半球視野では真下の路面が見えず,壁は鉛直でZの手がかりに乏しい.走るほど高さ誤差が大きくなり,地図が崩壊する.
2章 | 提案
逐次推定ではZ=0に固定して誤差を溜めず,ループ閉じ込みのときだけ6DoFへ解放する.
3章 | 結果
Z変動幅は 6.88 → 1.22 m.XY・回転誤差も同時に改善した.
SLAMとは | Simultaneous Localization and Mapping
1 | 研究背景
1 | 課題設定
2 | 提案手法
この2つの工夫により,安価で低解像度な3D-LiDARでも安定した自己位置推定・地図構築を実現する.
ここで出てきた「差分進化法」と「ループ閉じ込み」は,このあとのスライドで順に説明する.
2 | 提案手法(補足①)
候補どうしの差を使うため,集団が散らばっている序盤は大きく,収束するにつれ小さく動く.探索の粗さが自動で切り替わり,疎な点群でも局所解に捕まりにくい.
2 | 提案手法(補足②)
2 | 提案手法の核心
システム構成図.Z拘束に関わる2箇所を強調.構成は付録1,フロントエンドの式は付録7〜10,バックエンドの式は付録11〜14.
3 | 実験設定
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| Robot | L750×W527 mm,70 kg |
| 3D-LiDAR | JT16,16ch,垂直視野 0°–40°,最大100 m |
| Controller | MVC01(ジャイロオドメトリ + IMU) |
| PC | MacBook Pro 16(M5 Max, 128 GB) |
2026年7月4日16時30分頃,曇天下の埼玉大学構内.舗装路面,建物外周を周回するコース.人・車両通行のある環境.
3 | 実験結果
3 | Z=0拘束の検証
3 | Z=0拘束の検証
※ SLAMの推定結果に依存しない独立ICPによる閉合誤差の評価は,
予稿原稿5節および付録8を参照.
4 | まとめ
本研究に使用したロボットコントローラMVC01は,オリエンタルモーター株式会社より提供を受けた. また,実験に使用した移動ロボットの部品の一部は,公益社団法人スズキ財団の一般科学技術研究助成金による支援を受けた. ここに記して謝意を表する.
Appendix
以降は質疑応答用の補足資料です
付録1 | システム概要
文献(友納,2016)を参考にRustでリアルタイム実装.両スレッドはチャンネルを通じて非同期に連携する.
付録2 | 関連研究
付録3 | 課題設定(地図構造の崩壊)
付録4 | 走行コース
付録5 | 課題設定(軌跡・Zの定量的破綻)
付録6 | スキャンマッチング
step 1 | 前処理
→ 付録7
step 2 | 大域探索
→ 付録8・9
step 3 | 局所精細化
→ 付録10
大域探索で当たりを付け,局所精細化で詰める二段構え.フロントエンドの逐次処理とバックエンドのループ検出の双方で同じDEを使う.
付録7 | 評価関数
チャンネルごとの点列で,前後 点との差の総和から曲率 を求める(LOAMと同様).
edge
.建物の角や柱など,方向が急に変わる場所.
planar
.壁や路面など,滑らかに続く場所.
other
上記以外.マッチングには使うが,特徴点としては扱わない.
前後 点を使用.分母の により,遠方の点ほど点間隔が広がる影響を正規化している.
付録8 | 評価関数
地図はボクセルマップとして保持し,各ボクセルに点群の重心 と共分散行列 を記録する.候補姿勢で変換したスキャン点 のコストは次式で定義する.
NDT(Normal Distributions Transform)と同等の枠組み.ボクセル内の分布形状(平面状・線状)が反映されるため,点が少なくても面としての当てはまりを評価できる.値が低いほど良い適合.
feature bonus
スキャン点がエッジ点・平面点で,対応ボクセルも同種の特徴を持つ場合にコストを0.7倍する.対応ボクセルが無い場合は (最大コスト).
付録9 | 評価関数
3 layers
L0を優先して細かく合わせつつ,点が無い領域ではL1・L2へ段階的にフォールバックする.粗い層ほど下駄(0.1・0.3)を履かせ,細かい層で合ったほうが必ず有利になるようにしてある.
低解像度LiDARでは1フレームの点が疎で,単一解像度だと「どのボクセルにも当たらない」点が増え,評価関数が平坦になって探索が効かなくなる.Multi-Layered NDT の考え方に基づく.
付録10 | 局所精細化
DEの大域探索の結果を初期値とし,Gauss-Newton法で精密化する.姿勢による変換を とする.
Huber重みにより,残差の大きい対応(動く物体・誤対応)が二乗で効かなくなり,外れ値の影響が抑えられる. m,Gauss-Newton更新を4イテレーション.
付録11 | ポーズグラフ最適化
一周して最初の通路へ戻ってくると,離れた時刻のキーフレーム同士が空間的に近づく.そこに張るのがループエッジで,線の太さが最適化での重み(情報行列の大きさ).破線は最適化に入る前に捨てたエッジ.
→ 付録12 目的関数 / → 付録13 重みの決め方 / → 付録14 ロバスト化の二段階
付録12 | ポーズグラフ最適化
全キーフレームの姿勢 を,全エッジの誤差の重み付き二乗和が最小になるように解き直す.
terms
edge set
→ 付録13 重み の決め方 / → 付録14 誤検出の棄却と,減衰 の決め方
付録13 | ポーズグラフ最適化
エッジ誤差 の重み付き二乗和 を最小化する.重み はエッジの種類ごとに与える.
オドメトリエッジ:動いた量 に応じて と線形に信頼度を下げる.横滑り(Y)・鉛直(Z)・Roll・Pitch は,非ホロノミック拘束と平面走行の仮定から常に高信頼度の固定値にする.
ループエッジ:マッチングスコア と対応点数 から求めた信頼度で等方的に重み付ける. は下限値で,情報行列が過度に小さくなるのを防ぐ.
付録14 | ポーズグラフ最適化
stage 1 | before PGO
全ループエッジのスコア分布から中央値と中央絶対偏差を求め,この条件を満たすエッジをPGO前に捨てる.係数4.685はTukey biweightの定数.中央値ベースなので,外れ値自体に引きずられにくい.
stage 2 | inside PGO
残差 が大きいエッジほど が小さくなり,寄与が連続的に抑えられる.ループエッジにのみ適用(オドメトリエッジは ).
棄却しきれなかった誤検出が残っても,DCSが残差に応じて自動的に効きを弱める.最終的な重み を使い,疎行列のCholesky分解に基づくLevenberg-Marquardt法で姿勢グラフ全体を最適化する.
付録15 | 独立ICPによる閉合誤差
| 条件 | ΔZ [m] | XY誤差 [m] | 回転誤差 [deg] |
|---|---|---|---|
| Z拘束あり | 0.012 | 0.493 | 2.10 |
| Z拘束なし | 2.16 | 1.39 | 4.89 |
走行の始点・終点で取得した生スキャン同士を点対平面ICPで直接照合し,閉合誤差を求めた.オンライン推定の結果を一切使わないため,SLAM内部の自己評価とは独立した指標になる.全経路1.42 km.
interpretation